日本初のネットバンクとは?

2000年10月12日、日本初のインターネット専業銀行「ジャパンネット銀行」が誕生しました。さくら銀行(現三井住友銀行)が中心となり、住友銀行(同前)、富士通、日本生命などが出資して資本金200億円でスタートしたのです。草創期は従業員も役職付きが約50名、オペレーターを合わせても100人程度の船出でした。

 

それまでの銀行と言えば本店と多くの支店で成り立ち、カウンター窓口で預金口座の開設や公共料金の支払いをしていました。そこにはテラー(窓口担当者)が介在しています。

 

現在は各金融機関にはATMが設置されていますので、カウンターに寄ることは少なくなりましたが、機械が苦手な方や取引内容によっては窓口に並ぶことでしょう。

 

ジャパンネット銀行は本店の一ヶ所以外に窓口が存在しません。利用者はその本店に行く事も無く、1人のテラーを見ることもなくすべての銀行のサービスを受けることができるのです。しかも、原則として1年365日、24時間営業という体制をとっていますし、提携先のATMも利用できるので忙しいビジネスマンや主婦、事業主など幅広い利用者がいるのです。

 

この利点のうえにさらに金利や手数料でも顧客にアピールしています。通常の銀行に比べて金利も高く、手数料も低く設定されているのです。銀行もインターネット取引を始めましたが、夜間に振込みをした場合は翌日に反映されるのですが、ネット銀行では振込み手続きを完了した段階で入金されるというスピードがあります。急ぎのショッピングなどには強い味方になるでしょう。

 

 ネット銀行はインターネットの普及により今や当たり前のシステムに成長しました。当初は20~40代の層が活用し、昼休み時間、退社後、深夜帯に利用が集中していたのですが、従来の銀行の営業時間では使いにくいという幅広い消費者にその利便性を訴求して多くの口座を獲得しているのです。

 

この先駆けが小さい船で出航したジャパンネット銀行だったのです。

ネットバンクと普通銀行との違い

忙しくて家賃を振り込むのを忘れていた、急に現金が必要になったけれど銀行が閉まっている、などの経験した人は多いのではないでしょうか。こんなピンチに部屋にいながら振込み手続きができたり、コンビニで提携ATMから現金を引き出したりできるネットバンクは現代には欠かせないものになっています。

 

イメージからいうと店舗があるのが普通銀行で、店舗がないのがネットバンクで確かにその通りなのですが、まだまだ違いがあるのです。

 

まずネットバンクは当然ですがテラー(窓口担当者)がいません。専ら取引はインターネットか提携先のATMになります。このことにより人件費が掛からないので振込み手数料や預金の金利が普通銀行と比べて有利です。今では普通銀行もインターネットを活用する時代になっています。

 

 また、銀行は通帳やカードが必要ですがネットバンクには通帳がありません。ネット上で取引明細や過去の履歴を見ることができるので便利です。キャッシュカードはネット銀行でも提携ATMで現金を引き出しする場合に使うので存在します。

 

 年中無休で24時間(メンテナンスを除く)営業するネットバンクは夜型のサラリーマンやOLをはじめ幅広い層に利用されています。しかし、便利な面の逆も存在します。

 

セキュリティの問題です。個人情報保護法が制定されかなりの時間が経ちましたが、守られるどころか大手企業からの個人データ流出事件が後を絶ちません。また、世界的にハッカーの脅威に脅かされてもいるのです。

 

 利用者はもちろんですが、ネットバンク側のセキュリティ対策や社員へのコンプライアンスの遵守強化も必須事項なのです。

金融ビッグバンで本格化に

金融ビッグバンで本格化に
かつての日本の金融制度は「護送船団」と揶揄されるように金融機関同士の競争を出来るだけ避けて、競争力の弱い金融機関でも決して潰れないようにするものでした。

 

都市銀行、長期信用銀行、信託銀行、地方銀行という業態ごとに事実上の住み分けが行われていて、大蔵省や日本銀行などの規制監督当局が個別金融機関の経営判断にまで指導をしたいました。このような確立された秩序では実績のある外資系が進出を図る以外は新しい銀行の設立など論外とされていたのです。

 

 しかし、1996年に始動した「金融ビックバン」が2001年3月末までに日本の金融市場をニューヨークやロンドンと並ぶ国際金融市場として再生させるという大改革を目標に掲げたのです。このことは「護送船団」方式との決別を意味するもので、競争制限的な金融行政を排除することになるのです。したがって、競争力の弱い金融機関を保護する動きから、むしろ活発な競争をさせることにより各金融機関が上質なサービスや新商品を開発、工夫することで我々消費者にとり望ましい結果へ向かうと考えられるようになったのです。

 

 2002年4月からペイオフが解禁され、銀行預金でも1人あたり1000万円を超える部分に関しては元利金が常に保証されなくなりました。つまり、銀行はけっして破綻することがなく、預金は安全であるという方程式は完全に過去のものとなったのです。さらに、ビックバンを推進する場合は新規で銀行業に進出するものを歓迎する傾向になるのです。

 

そこで、店舗や多数の従業員を持たない新しい銀行「インターネットバンク」が誕生していくのです。2000年10月には日本初のインターネット専業銀行であるジャパンネット銀行が登場します。これは現在の三井住友銀行が音頭をとり、富士通、日本生命などの異業種らが出資した200億円でスタートしました。この後も様々なネットバンクが誕生して現在では決して珍しくない金融機関に成長しています。

効率的な販売チャネルの追及

銀行の販売チャネル構想の産物として登場したネットバンクですが、誕生するまでには長い月日が掛かりました。顧客にサービスを効率的に提供するかという課題を追求していき結果としてたどりついたのです。

 

 通常の銀行といえば街の中に店舗があってテラー(窓口担当)を介して振込み、預金、引き出しなどの銀行サービスを行っていました。しかし、この店舗をひとつ構えるだけでもテラーの人件費、テナント料などコストが掛かります。銀行側にとり顧客とのアクセスポイントを増やすことは経営戦略上必要なのでジレンマに陥るところでしょう。顧客のアクセスポイントが増えれば利便性も高まり、銀行も新しいサービスや商品を提供しやすくなるからです。そこで銀行は新しい販売チャネルを模索しはじめたのです。

 

一つは建物や機械など物理的な存在が顧客と銀行をつなぐ「フィジカル・チャネル」でATMなどが代表例です。長年、販売チャネルの主流でしたが運営、維持、管理にコストがかかり、現金の補充や警備にも人件費がかかるデメリットがあります。

 

二つ目は顧客が自宅や職場にいながら銀行とつながることができる「ダイレクト・コミニュケーション・チャネル」があります。これはまさしくネットバンクを意味しており利便性もありコスト削減効果もあります。カスタマーサービスで人件費が掛かっても場所をテナント料の安い地域に設置するなど工夫できるからです。従来の電話回線を利用した銀行サービスもこれに含まれます。

 

 今では銀行の店舗より提携ATMやインターネット、モバイルなどで銀行取引をしている人は多くなっています。銀行の店舗は営業時間と休日が存在しますがネットバンクはメンテナンス日を除くと1年365日年中無休で24時間営業なのですから当然でしょう。

 

また、技術革新が進むにつれインターネット上の販売チャネルが多種多彩になりサービス性も向上していくとフィジカル・チャネルであるATMの利用率も下がる傾向にあります。

 

ネットバンクは電話などの従来のダイレクト・コミュニケーション・チャネルには実現できなかった利便性を顧客に提供できるので今後に期待したいものです。

ネットバンクの将来

今やインターネットは日常的な金融取引において必要不可欠なものになっています。

 

それは個別金融サービスからポータル・サイトまでと幅広いものです。当初「われわれの顧客はインターネットでは取引などしない」と豪語していたアメリカのメリルリンチ証券も今は導入するほどなのです。ネットバンクも傾向は同じでネット証券会社の方が売り上げではリードしていましたが、顧客と銀行をつなぐ販売チャネルとして利便性が市民権を得て無くてはならないものに成長しました。しかし、利便性の裏にはクリアしなければならない課題が潜んでいるのです。

 

 低コストで広範囲な顧客から預金を獲得することができますが、運用の問題があります。

 

預金をいくら集めても銀行は商売にはなりません。ただ顧客のお金を大切に保管しているだけで利益は生まれません。ですから、この集めた資金(預金)を運用して利ざやを獲得しなければならないのです。しかし、ネットバンクはコスト削減のためにテラーなどの従業員が極めて少なく貸付の審査や延滞したときの回収対処などに弱点があるのです。また、ネット専業バンク以外の既存銀行の場合はどうでしょう。親銀行から分離されたネットバンクは通常よりも手数料を安くし利息を高くして預金を集めようとします。テナント料や人件費を削減した分でサービスできるのですが、武器である利便性、いわゆる日常の金融取引(引き出し、振込み)を間違っても低下させることはできません。

 

ですから、親銀行のATM網を開放しなければならなくなります。顧客にとっては基本的な銀行サービスは店舗もネットバンクも差がないどころかネットの方が便利で金利も手数料も優遇されると知れば自然と預金がネットバンクにスライドしていくのは当然でしょう。

 

銀行側としては以前より高い金利をつけて預金を集めたことになり、言葉をかえると共食い状態になるのです。今後は顧客への新商品の提供やサービスの向上がネットバンク業界の更なる発展のカギとなると思われます。年中無休で24時間、自宅や会社にいながら振込みや残高照会が可能なネットバンクの新しいサービスに期待したいものです。